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トリエステ号 (Trieste) はスイスで設計された2人乗りのバチスカーフである。マリアナ海溝における深度約10,911メートルの記録を持ち、その後2012年に映画監督のジェームズ・キャメロンが搭乗した「ディープシーチャレンジャー」がほぼ同じ深度に到達するまで、有人でこの深度に達する深海探査艇はなかった。 == 設計 == 科学者オーギュスト・ピカールによって設計され、1953年にイタリアのナポリ近郊で地中海に進水、1958年にアメリカ海軍に買い上げられた。 トリエステ号は浮力を得るためのガソリン槽と耐圧球からなり、ピカールはこの構造をバチスカーフ(bathyscaphe)と呼んだ。それ以前の人が乗り組んだ球体を母船から吊って昇降させるバチスフィア(bathysphere)より自由度に優れていた。 後のネクトン計画に際して船体は15 メートルあまりに延長されたが、大部分は85立方メートルのガソリンで満たされた一連の浮力部と両端のバラストタンクで占められる。乗員は船体上部から浮力部を貫く通路を介して、下部に取り付けられた直径2.16メートルの耐圧球に乗り込む。トリエステ号の乗員数は2名で、呼気から二酸化炭素を取り除く循環機構など、現在の宇宙開発で用いられるものに近い独立した生命維持装置を持っていた。 耐圧球はドイツのクルップ社で製造され、精密に加工された2つの半球と赤道部をつなぐリングからなる。厚さ12.7センチの壁(これは計算値よりかなりの安全係数をとってある)はマリアナ海溝の最深部に相当する110メガパスカルもの圧力に耐える。重量は大気中で約13トン、海水中で約8トン。予想される水圧に耐えながら浮力の平衡を保つために浮力材が不可欠で、軽さと耐圧縮性からガソリンが選ばれた。 船外の観察は、水圧と船体の厚さに合わせて作られた円錐形のアクリル窓を通して肉眼で行う。照明には1,000気圧下でも発光するクォーツアーク球が用いられた。 深海では水圧のためにバラストタンクに空気を送り込むことができないので、潜降を速め浮上の際には捨てる重りとして9トン分の鉄球が積まれた。この重りは電磁石で船体内部に収められ、電磁石に通電した状態では保持され、通電を停止したり電気系統に故障が生じた場合には鉄球が放出され、直ちに浮上するようになっていた。 トリエステ号はサンディエゴの海軍電子研究所に運ばれた後、数年の間に大幅な改修を受けつつ太平洋での一連の深海潜水試験に供された。1960年には最も深い海底域として知られるマリアナ海溝に潜ることになる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トリエステ (潜水艇)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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